頭上注意!

俺もよく不可解な出来事に遭遇するのだが、
俺の家族も同じく、よく不可解な出来事に遭遇する。
…これは遺伝か!?(たぶん違う率1億3000万パーセント)。

今回の話は、以前このブログでも紹介した
『アレ泥棒!』 にも勝るとも劣らない、
俺ら一家の経験した不可解な事件のひとつである。

今からずいぶんと昔の事だ。
俺が会社で仕事をしていると、携帯電話が鳴った。
番号を見ると、その日は休日出勤の代休で
自宅にいる兄貴からだった。

普段俺に電話などしてこないのに珍しいなと思いつつ、
少し嫌な予感がして、勤務中ではあったが電話に出た。
同時に、兄貴のうろたえたような、困惑したような声が聴こえた。

『おいっ、助けてくれ!』

…第一声が『助けてくれ』である。
俺は一瞬ひるんだ。
しかし、こうやって話せているのだから
瀕死の状態などではないのだろうと気を取り直し、
何事かとたずねるとありえない答えが返ってきた。

『寝てたら頭の上にヒナ鳥が落ちてきた。』




………何ですか?兄よ。
あなたは森の木陰ででも寝ていたんですか?
頭上にヒナ鳥。
ありえない。
それとも、兄貴は夢でも見て寝ボケているのかもしれない。

『忙しいから切るよ。じゃあな。おやすみ。』

素っ気なく携帯を切ろうとすると、
どうやら本当の事らしく、電話の向こうで
『俺の話を聞けぇええええぇぇええぇっっ!!』
と、もんのすんごい切羽詰った声で訴えている。

今なら写メでも撮って証拠写真を送ってもらえばいいのだが、
当時、携帯電話もようやく一般に普及し始めた頃で
携帯にカメラどころか、メールの機能すら無い時代だった。

改めて事情を聞くと、
『自室で寝ていたら、急に頭上からヒナ鳥が落ちて来たので目が覚めた』
のだという。それも『2羽』落ちて来たらしい。
…兄は森の木陰で寝ていた訳では無かったようだ(笑)。

まだ仕事中でもあったし、
詳しい事は家に帰ったら聞くからと電話を切った。
仕事が終わると、俺は車をぶっ飛ばして家へと急いだ。

家に着いてみて驚いた。

兄がとりあえず用意した、お菓子の空き箱の『巣』に
スズメのヒナ鳥が2羽、小さくうずくまって震えていた。
か弱い声でヒヨヒヨと鳴く姿が痛々しい。
家族もみんな、どうしたものかと困り果てて
箱の中をのぞき込んでいる。

兄に事情を聞いてみたが、
本人が寝ている時に突然降って来たので
ヒナたちがどこから来たのか、
どういった状況でそうなったのか、
それらが全く分からない。

それだけでは無い。
いつも兄が寝ている頭上部分には、
穴の一つも空いてはいないし、あまつさえ隙間の一つも無いのだ。
それなのに、このヒナたちはどこから落ちて来たのだろう?
もはや仮説の立てようも無い不可解な出来事だ。
不思議というのを通り越して、若干気味が悪かった。

とにかく、今はヒナたちがどこからどうやって来たのかより
その命を救う事の方が先決である。
元々弱っていたのか、ヒナたちは元気が無い。

ご飯つぶをすり潰してくちばしのそばへ持って行ったが
2羽とも食べようともしない。
寒くないように電気スタンドの光で暖めたり
水を飲ませてみようと試みたりもしたが、
結局、2羽とも翌朝にはあっけなく逝ってしまった。

家族全員、やるせない気持ちで一杯だった。

自宅の猫の額ほどの庭に穴を掘り、
2羽そろえて仲良く葬った。
仕方の無い事なのだけど、動物の死はいたたまれない。

それにしても、今改めて考えても
どうにもこうにも訳が分からない一件だった。
ただ、一つだけ分かった事がある。

我が家の屋根裏に、スズメが巣を作っていたようなのだ。
母が、屋根裏にスズメの親鳥が入って行くのを見たらしい。

どうやらそのヒナが、何をどうした訳か
兄の部屋の天井から寝ている兄めがけて落ちて来たのだ。
せっかく産まれて来たものの、
このような結果は親鳥にしては残念だった事だろう。

今も家族の間で、不思議な出来事だったと
語り継がれているこの事件。
それより俺は、兄貴の『助けてくれ!』という
困り果てた第一声が忘れられない(笑)。
時々、思い出しては笑っていた俺。

…兄貴、笑ってゴメン。
今度牛丼おごるので許して下さい。


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