そんな目で見ちゃイヤン〜俺はやってない!〜

生涯において、あんなに怖い目でみつめられる事がそうそうあるだろうか?
今思い出してもつい笑ってしまう、
それでいてかなり緊張した俺の思い出。

もう10年近く前の、ある平日の事だった。
当時、交代制勤務で働いていた俺。
その日は遅番で、勤務は午後から夜半にかけての時間帯だ。
出勤までの時間を自宅でグダグダと過ごしていると、
突如、姉から連絡が…。

何かと電話に出てみると
『1〜2時間ほど外出するから、その間子供を預かって欲しい』
との連絡だった。
当時、姪っ子は3歳ぐらいだったか。
まだまだ目の離せない幼児だ。預かるのにも気を遣う。
まぁ1〜2時間ぐらいならと俺は姉の依頼を聞き入れた。
しばらくすると、隣町に住む姉が車で姪っ子を連れて来た。
俺は姪っ子を預かると、姉を見送った。

久しぶりに会う姪っ子は、よく話をするようになっていた。
ほんの少し前は、言葉もおぼつかない様子で
話もほとんどしない子だったのになぁ。
子供の成長というものは、何と早いものだろうかなどと感心しつつ
姪っ子としばらく部屋で遊んでいた。

しかし、これと言った子供のおもちゃも無い状況。
姪っ子は少し退屈そうな様子を見せ始める。
若干ご機嫌ナナメな感じだ…。

『いかん。このままでは姉が戻るまで時間が持たん。』

そう考えた俺。ふと外を見ると天気も良い。
このまま家に閉じこもっているのもかわいそうだなと、
一つの案が浮かんだ。

『公園行こっか?』

歩いて5分ほどの所にある小さな公園に誘うと、
姪っ子の顔が見るからにぱっと明るくなった。
答えは、彼女の返事を聞くまでも無いだろう。

俺は、いつも愛用しているリュックを背負うと
姪っ子と手をつないで近くの公園にぶらりと出掛けた。
季節は3月の始め頃。
風はまだまだ冷たいが、早春の日差しがとても心地よかった。

別に、財布だけポケットに入れて出ても良かったのだが
何かリュックを背負っていないと落ち着かない俺。
よく『何が入ってるの!?』と聞かれるぐらいデカいリュックだ。
…これが後々、俺の足を引っ張る事になろうとは。

公園に着いた俺と姪っ子。
平日の午前中の公園には、誰も居なかった。
天気とはいえ、まだまだ冬の寒さも残る外気はやや冷たい。
寒い公園に来る親子連れや子供は居ないのだろうか。

寒さも気にせず、姪っ子は嬉しそうにブランコに突進。
二つある小さなブランコの一つに乗ると、俺を呼んだ。
…どうやら俺にも乗れと言っている様子。
しょうがない。ここは逆らわず付き合うとしよう。

それにしても。
小さなブランコに乗って、幼児と一緒にはしゃぐ怪しい大人…。
今思えば、絵面(えづら)的に怖すぎるぞ、俺っ!(笑)。

しばらくブランコで遊んだ後、次はシーソーへ。
その次はジャングルジムに行こうと誘われ、二人して登った。
一番上まで登って、腰掛けたまま話を始めた。

姪っ子は最近自分が覚えた歌や、近所の友達の事。
新しく知った遊びやゲームの事などを、
舌足らずな口調ながら一生懸命に話した。
俺はそんな彼女の話を『うん、うん』と、
ただひたすら聞く事に徹していた。

と、その時だった。
バイクの音が聞こえてきた。

つい反射的にジャングルジムの上から公園の外を見ると、
まだ若いであろう警官が一人、バイクに乗って超低速で走っている。
しかし、俺と目が合った瞬間だった。
その警官はバイクを止め、バイクにまたがったままの状態で
俺の事を凝視し始めた。

その目は、明らかに俺の事を『誘拐犯』でも見るような目つきだった。
確実に『気のせい』などでは無い。
もう、その顔の怖い事怖い事。
今にも手錠を持ってこっちに向かって来そうな勢いだ。

しかし、疑われてもしょうがない。
確かに俺と姪っ子の組み合わせは、誰がどう見ても『親子』では無く、
俺が『どこかからさらって来た子供』だった。

俺と姪っ子は本当に似ていない。
全く似ていない。
血のつながりが微塵も感じられないほど似ていない。

そんな俺が、あまつさえ『登山に行くのか?』といった感じの
大きなリュックを背負って、幼児とジャングルジムの上で話している。
その様子は確かに、一見『異様』だったに違いない。
その光景に犯罪の匂いを感じ取ったのだろう。
そりゃ、おまわりさんだって疑うよな(笑)。
もはや職務質問されてもおかしくないような雰囲気だ…。

いやいやいや。でも俺、さらってませんから。
これ、俺の姪っ子ですから!
警官のおっかない表情に、内心どぎまぎしていた俺。

時間にして約3分近く、その若い警官は
俺と姪っ子の様子を注意深くうかがっていた。
しかし、姪っ子が俺の事を愛称で呼んだり、
『ママ何時にもどってくるの〜?』といった問い掛けを
していたせいだろうか。
恐らく大丈夫だと思ったのか、険しい表情のまま
またバイクのエンジンをかけて走り去って行った。

いやぁ〜、もうホント怖かった。
あの顔、特に目は怖かったわ〜(笑)。
本気で職務質問は覚悟したからね。
発砲されたらどうしようかとも(って、それは無いだろ!)。
完全に『誘拐犯』だと思われてたね、俺。

その後、満足した姪っ子を連れて家に戻り
用事を済ませて帰った姉に、無事会わせる事ができた。

後日。
母にこの、俺が警官から『誘拐犯』扱いされた一件を話してぼやくと
逆に諭されてしまった。
それはなかなか熱心で、思慮の深い警官ではないかと。

もし本当に俺が誘拐犯だったとしよう。
そんな状況を見逃して、何もせずに警官が素通りでは
犯罪を止めるチャンスを逃している事になる。
今回は俺と姪っ子が何らかのつながりがあると判断したものの、
万が一『おかしい』と思ったら、警官は何か手を打っただろう。
本当に犯罪だったら、ここで阻止できるではないか。

そう言って、母はその若い警官について感心していたが、
誘拐犯扱いされた俺はいささか気分が悪かった。
まぁ、確かに怪しい雰囲気たっぷりだったからなぁ(笑)。
あのリュック。
やけに大きいリュックが俺の怪しさを増幅していたに違いない。
…いや、元々怪しいか。
リュックのせいにするな、俺よ。

しかし、言われてみればそうだ。
異様な感じがするのに、それを『まぁいいか』なんて見過ごす。
警官ではなくても、自分がそういう状況に遭遇した時、
注意深く観察する事も必要かも知れないと思った一件だった。

…俺、そんなに雰囲気怪しいのか。
地味にへこみつつ、今回のブログを締めくくります(笑)。


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